May you fare well

ワインがでてくると彼が「アメリカから帰ってきて最初にしたことはなんだった?」と聞いてきた。

日本に5年住んでアメリカに帰ることになった人の質問としてはしごくまっとうだ。

たしか、、 私の時は、タッチー (立花 岳志 さん) が車で空港に迎えにきてくれて。なぜか私の昔の恋人を連れてきて (タッチーは私たちが付き合っていたことを知らなかったと言っていたが)、まあいいかとそのままみんなで実家へ行き、父親と食事をした。食事はタミーさんが作ってくれた。

「すごい始まりかただな」と彼。

たしかに、いまから考えるとそんな20年前だった。それよりも自分にとっては、すぐにアメリカに帰るつもりだったのに、帰らなかったことの方が驚きだったとも伝えた。

私には、彼の気持ちが良くわかる。なんだかよく分からないけど、ココジャナイという感覚。

アメリカでの生活はどうなるんだろうと彼、、

私の時は一週間後に日記猿人の運営から離れ (神さまをクビになり)、半年後にえんちゃん (福岡ユタカさん) と映像作品を作り始め、父親が一年後に他界し、テンプル大学ジャパンで教え始めて、初めての個展を青山の Gallery Art Space で開催することになったのだった。

タッチーと元恋人を見つめる成田空港の私は、そんなことを知るよしもない。だから、きっとうまくいくことだから。未来は変わらないから、

そして、2年後に、えんちゃんを通して、山中透さんと知り合い、愛方さんとも出会うことになる。もちろん、17年後にぼくらが結婚することになるなど知るよしもない。

というわけで、みなさまに大変お世話になりました、元助手のトムさんが、アメリカに帰国するこになりました。この場を借りて、彼の代わりにお礼を申し上げます。ありがとうございました。

まあ、彼の場合は、きっと日本に帰ってくるでしょうけど、と思っています。

いつものビストロで食事をすることになって、そうなんだトム帰るんだと三角地帯のマスターがこのワインをだしてくれました。このワインの味は忘れないと思います。

Farewell.

トムと飲んだワインボトル、エチケットには駅のフォームで電車を見送りながら手を振る人が描かれている

この記事を書いた人

シンヤB

アーティスト、教育者、ドラマトゥルク。詳しくは、プロフィールをご覧ください。