大学の授業の初日に、「Design is function」という話しをすることにしている。
ファンクション(function)とは、機能・作用という意味だ。彼らの前で、簡単なデモンストレーションをするところから始める。大学の椅子を机の上にのせて、「これはなにか?」と、まず問いかける。
もちろん、学生からは、「椅子だ」と答えが返ってくる。
「なぜ椅子だと思うのか?」と、さらに問いかける。「椅子だと教えられたから」と答えるひとが多い。
私は、椅子を頭にかぶり、もう一度問いかける。「これはなにか?」。
学生たちは笑いながら、「椅子は椅子だ」と答えるひとと、「帽子」になったと答えるひとにわかれる。椅子をたたき、帽子というよりヘルメットだと話し、ゆっくりと、椅子を床に置いて、こんどは、それに、座ってみる。
「私は、これに座ることができた。これは『椅子』になった。」と伝える。
「デザインは、機能である」と考えて欲しいと話す。デザインを美しさと考えるひともいるが、「美しさ」も機能なのだ。