スマートHDRとスマートRAW | iPhone 写真術

abicase が届き、やっと iPhone Xs Max を使っている実感が湧いてきたので、iPhone 写真術についてのブログを書き始めている。

iPhone Xs Max のシンプルなインプレッション (使い始めの印象) を書くのではと思っていたのだが、それは次の機会になりそうだ。それより、まずは Halide というカメラアプリの「スマートRAW」と iPhone の「スマートHDR」 ついて伝えたい。それぐらい iPhone 写真術にとっては重要なことと思えるからだ。

先週末、iPhone 写真術のワークショップをしていたのだが、最終日の日曜の朝に、Halide カメラアプリがアップデートされ、スマート RAWという機能が実装された。これは私が待ちわびていた機能だった。

日曜の夕暮れはワークショップ参加者と一緒に青山から渋谷まで歩きながら撮影会。私も、Halide の最新バージョンで撮影に挑んだ。その時できたのが上の一枚。

そして、3日程たって、Halide のオフィシャルアカウントがその写真をリグラムしてくれた。

「シンヤB が スマート RAW の可能性を見せびらかしてる」

と書いてあった。確かに、まさにそんな感じで撮影していた (笑

さて、教育者としては、スマート RAW を理解してもらえれば、iPhone Xs Max のカメラについてより深く理解してもらえると思えるので、解説してみたいと思う。

iPhone Xs のカメラの特徴は二つある。一つは「Bokeh (ボケ)」。ポートレイトモードで撮影した写真の被写界深度を後から Photo アプリで変えられるというもの。

そして、もう一つの特徴は「スマート HDR」である。

iPhone Xs のスマート HDR

スマートHDR は、従来の HDR よりも、さらに「画像センサー + iOS 12 + カメラアプリ」が一体となって高画質を実現する技術だ。HDR (ハイ・ダイナミック・レンジ) とは、同じ写真を「明るい」「普通」「暗い」の3つの露出で撮影し、アプリにて露出の良い部分を利用する形で合成する写真制作技法である。

スマートHDR は実際にはどのような機能なのか、検証、説明したいと思い、もう一度、9月に開催された Keynote のビデオを見てみた。実は、iPhone Xs のカメラの機能には分からないことが沢山あり、まだとてもモヤモヤしていることもあった。

Apple Special Event 2018年9月12日

スマートHDR の紹介の前に、カメラアプリがどのような動作をするかの説明があるのだが、その時のスライドには以下の機能が書いてある。

  • Auto exposure (オート露出)
  • Auto white balance (オートホワイトバランス)
  • Auto focus (オートフォーカス)
  • Noise reduction (ノイズリダクション)
  • Local tone mapping (ローカルトーンマッピング)
  • Highlight detail (ハイライトのディーテール)
  • Image fusion (イメージの融合)
  • Face detection (顔を認識)
  • Faical landmarking (顔を識別)
  • Segmentation (分割)

これらがどのように行われているのか細かい説明はなかったが、ローカルトーンマッピングは HDR 合成のことで、それとは別に、ハイライトのディーテールと書いてある。

X と Xs の比較画像を上げているサイトをみると、X で撮影した写真とのハイライトの差はとても大きいことが分かる。そして、ハイライトを綺麗に写すには、HDR と同じようなことをするしかないのだが、これをどう処理しているのかは気になるところ。

さて、本題に入ろう。

1:09:25から1:10:35の間に、スマートHDR の紹介が行われている。

まず最初に 「HDR は知っているよね ?」 とレトリックな問いかけがあり。2枚 (a couple) の写真を合成して、ハイライトとシャドウを持ち上げる技術だと説明がある。

生中継で見ていた時は、この a couple は「2~3枚の」という意味だと思っていたのだが、見直すと、彼は HDR は2枚と思っているように思えてくる。通常は (最低) 3枚であることは冒頭に書いた。

iPhone Xs のカメラはシャッターボタンをタップすると、4枚の写真をバッファーに記録し、さらに、ハイライトのために露出が暗い写真もそれぞれ記録、合計8枚である。興味深いのが、この写真は2枚目のインターフレームだと付け加えるところ。インターフレームは動画で使われる用語で、独立しているフレームということ、つまり、予測や圧縮されたものではないという意味で使ったのだろう。

そして、さらにもう1枚シャドウのためにシャッタースピードが遅い写真が記録され、この9枚を分析して、その中の4枚 (シャドウ用、最初の4枚から2枚、ハイライト用) が合成されると説明がある。

分かったような分からなかったような気分になるのだが、これらがどういうことなのか予想してみた。

iPhone Xs は、通常から 2枚を使った HDR をしているのではないか。そして、HDR を有効にすると、スマートHDR となり、シャドウのための画像も含めた4枚合成がおこなわれるのではないか。

普段から HDR していると考えると、2枚 (a couple) にも繋がっていくと思えるのである。iPhone Xs の HDR については、さらにリサーチを続けようと思う。

Halide カメラアプリのスマートRAW

さて、iOS 11 の時のようにアップデートによりさらに画質が綺麗になることも予測できるので、手軽に撮りたいのであれば、これらの Apple の機能は素晴らしい。

しかし、私のように撮影した後にレタッチをしたい人にとっては、あまりにも iPhone が写真をプロセスしていることになり、レタッチを入れにくいということが起こる。まずはノイズリダクションで画質が変わってしまうなどが問題になってくるだろう。

プロセスをされていない写真が欲しければ RAW ファイルで記録するという方法となるが、ここで大きな問題が起こる。Apple の写真プロセス技術があまりにも優れているため、RAW で記録すると Apple の技術をバイパスすることになり、写真として使い物にならないこと。そして、さらに、オート露出などはスマートHDRのために調整されていると考えられて、それも直さないとならない。

Halide のスマート RAW は、スマート HDR をバイパスし、露出などを使えるように調整した状態で RAW 記録をするのである。完璧というわけではないかが、結果は良好だ。

ということで、しばらくは Apple標準 (2枚 HDR と推測中)、スマート HDR、スマート RAW、のすべてを撮影して比較することになりそうだ。

この記事を書いた人

シンヤB

アーティスト、教育者、ドラマトゥルク。詳しくは、プロフィールをご覧ください。