WordPress (ワードプレス) のコミュニティ活動の一環として、オープンソースカンファレンス 2019に参加しました。Tokyo WordPress Meetup のブースの出展だけでなく、WordPress についてもお話させていただく機会をいただきました。
話した内容をこちらに記事として掲載いたします。
オープンソースカンファレンス東京 2019
・WordPress 最新版の概要と日本のコミュニティについて ← いまここ
・Tokyo WordPress Meetup で参加しました
WordPress 5 最新版の概要と日本のコミュニティについて
みなさん、こんにちは。WordPress のセミナーに参加してくださり、ありがとうございます。「最新版の概要と日本のコミュニティについて」のお話をさせていただきます。話を始める前に、まずはこちらのビデオをご覧ください。今日、お話する、WordPress 5.0 から採用されたブロックエディターのイメージビデオです。
あらためまして、こんにちは。シンヤBと申します。私は WordPress コントリビュータです。普段は、アーティストと、大学で教員をしています。今日は会場が大学ですね。出席簿が手元にない方々にお話するのはなんだか緊張します。大学での授業では、話を聞いてもらいたい時に、「ここはテストに出ますよ」と言えば、みんながこちらを見てくれますが、今日はその方法が使えないなーと思っているんです (笑
WordPress コントリビュータですが、WordPress はオープンソースのソフトウェアですので、だれもが無料で使うことができます。オープンソースであり続けるために、世界中のWordPress のユーザーでコミュニティを形成し、みんなで WordPress の開発やメンテナンス、コミュニティのサポートをしています。今日、私が、ここでみなさんにお話させていただいているのも、コミュニティ活動の一環です。
WordPress とはなんでしょうか ?
WordPress とはなんでしょうか ? 一般的には CMS と呼ばれています。C は コンテンツ、内容物 (記事) のこと。M は マネージメント、管理すること。S は システム、装置のこと。
「記事を管理する装置」と考えてもらえれば分かりやすいと思います。
B2 — MySQLを使い、ダイナミックにページを生成するブログシステム
WordPress 5.0、グーテンベルクというコードネームで開発がされていました。いまでは、ブロックエディターと呼ぶ方が分かりやすいかもしれません。WordPress 5.0 の話をする前に、少し古い話をします。
B2 というブログのソフトウェアがありました。2001年にリリースされました。ミッシェルさんというフランス人の方が個人で作ったものです。そのソフトウェアには、新しい仕組みが使われていました。
MySQL を使い、ダイナミックにページを生成するというシステムです。
あれ、それって、、 と思うかたもいるかもしれません。それは WordPress なのでは ? そうです、WordPress と同じ仕組みです。
B2 は、ブログを書いている人々の間で人気が出て、2002には、2000のサイトがB2で運営されていました。しかし、ミッシェルさんは2002に突然にコミュニティからいなくなってしまいます。あとからわかったことですが、仕事がなくて困っていたのが理由だったそうです。
B2 ユーザーの中に、マットさんというアメリカ人がいました。彼は、B2 が優れていただけでなく、GPL であったことにも感銘を受け、B2 を引き継いで新しいシステムを作ることにしました。それが WordPress です。2003年にリリースされ、ちょうど昨年、15周年のお祝いをしました。
GPL という思想
オープンソースのカンファレンスなので、GPL にもふれた方がいいかもしれませんね。WordPress のコミュニティでは、100% GPL をルールとして義務付けています。コミュニティでイベントをしたりするときも、GPL の説明を冒頭にしたりと思想を広める努力をしています。
「100% GPL」が分からない人は検索して勉強してくださいね。説明はしませんが、私の授業だったら、ここはテストにでますよ! (笑
Democratize Publishing — 出版の民主化
WordPress は、ひとつの目的を持って生まれました。それは、人々が簡単に情報発信をできるようにすること。これを、「Democratize Publishing (出版の民主化)」と呼んでいます。この考え方は、15年たったいまも続いています。
WordPress 5.0 — ブロックエディター
さて、そろそろ、今回のテーマである、「WordPress 最新版の概要」についてお話します。昨年の12月6日に WordPress 5.0 がリリースされました。エディターを一新しブロックエディターを導入しました。バージョン 4までの WordPress は、リッチなコンテンツを作るとき、例えば写真や動画を使いながら複雑なレイアウトを作りたい場合、CSS やプラグインを駆使しなくてはならず、手間もかかり、コンテンツ (内容) をリッチ (豊か) にしやすいとはいえませんでした。
そこで、ベージを構成する要素の一つ一つを「ブロック」という形式で管理できるようにしたのがブロックエディターです。実際に編集画面を見ていただいた方が分かりやすいかもしれませんね。私のブログの編集画面はこのようになっています。使いやすいようにカスタマイズしてあるので、編集画面の表示が少し違うことはご了承ください。
このように、パラグラフやイメージといった要素 (エレメント) が、ひとつひとつブロックという形式で管理されています。ブロックを選択すると、ブロックの上や右のカラムに、属性 (アトリビューツ) の情報がでてきて、簡単に設定することができます。
私にとっての、現時点でのブロックエディターの恩恵は、編集画面と実際に記事として表示されるウェブページが、ほとんど同じことです。つまり、編集画面とフロントエンドが同じように表示されます。これはブログを書く際のストレスを軽減してくれています。問題と言えば、疲れてくると、フロントエンドをクリックして編集しようとしてしまうぐらいでしょうか (笑 それぐらいストレスがありません (笑 この編集画面のコンテンツの実際の表示はこのようになっています。
さて、なぜ WordPress はブロックエディターにシフトすることにしたのでしょうか ? ここで、もう一度、最初に見ていただいた動画を再生します。
ひとつひとつの要素がブロックになることは説明しました。そして、このイメージ動画では、それぞれのブロックが自由にページの上をいききしています。これが、ブロックエディターが目指すところです。ブロック形式を採用することで、自由にページをレイアウトできる環境を目指しているのです。
自由にページをレイアウトは、WordPress 5.0 ではまだできませんが、そこに進むためのステップとして、まずはブロックエディターを採用したわけです。これは、「Democratize Rich Post Publishing (リッチポストの民主化)」と言えるのではないかと考えています。
WordPress を使っていらっしゃる方のためにも、もう少しお話しておきます。ブロックエディターに移行することは、いろいろと議論を呼びました。まずは、サイトによっては、きちんとメンテナンスしないと WordPress が思ったように機能しない可能性があります。これはサイトのデザインやカスタマイズがどのようにされているかによって違ってきますが、バージョン 4に満足していた人々にとっては、大きな手間になることが考えられました。
いまのところは、特別なケースをのぞき Classic Editor プラグインを入れれば、ブロックエディターを使わずに、旧エディターのまま作業することができます。
そして、将来のブロックエディターでは、編集画面上でレイアウトやデザインを変更したり作ったりできることになりそうですので、テーマがどのような存在になるのかまだはっきり分かりません。さらに、プラグイン、ショートコードなども、どのように変化していくのか分かりません。しかし、私は、リッチポストが簡単に作れるブロックエディターへのシフトは、エキサイティングだと考えています。「Democratize Rich Post Publishing (リッチポストの民主化)」、だれもが簡単にリッチポストが作れるなんて、面白い未来だと思うのです。慣れてくると、編集画面と実際のウェブページの表示が違う以前のバージョンに戻るのは難しいと思います。
WordPress のコミュニティ活動について
WordPress のコミュニティの活動についてお話します。
コミュニティでは、WordPress の開発、メンテナンスや、コミュニティイベントのサーポトを一緒にしてくれる仲間を探しています。
Meetup と呼ばれる勉強会や懇親会。WordCamp と呼ばれるカンフェレンスなどが開催されています。
東京では、Tokyo WordPress Meetup と名付けられた、東京全体での Meetup と、羽田、三鷹、八王子、二子玉川といった、より小さい地域での Meetup があります。1〜2ヶ月に1回のペースで開催されていますので、WordPress Meetup で検索してみてください。
今年は、羽田の Meetup が WordCamp Haneda、WordPress のカンファレンスをおこないます。小さな地域による初めての WordCamp です。これも WordPress のコミュニティにとってはエキサイティングなできごとになりそうです。4月20日、21日に開催されます。楽しみにしています。
そして、まだスケジュールは決まっていませんが、WordCamp Tokyo の開催も予定されています。昨年の WordCamp Tokyo のアフタームービーがあるので見てください。
WordCamp Tokyo は、1000人ほどの来場者が予想されるイベントです。昨年は、金曜日にコントリビュータデイ — 参加者で一日中 WordPress のための作業を一緒にする日 — と、土曜日にカンファレンスとアフターパーティがおこなわれました。東京は国際的な都市ということもあり、日本語のセミナーだけでなく、英語のセミナーもあります。英語のセミナーでは日本語への同時通訳も提供しています。
私は、アフターパーティ班に所属していたのですが、カンファレンスのテーマがチャレンジということで昨年は渋谷のクラブを貸し切ってパーティをしました。懇親会ではライトニングトークをおこなうのが習慣になっていますが、クラブだったらライトニングトークよりは DJ なのではと、ライトニングDJを募集したところ、いろいろな人から応募があり、DJイベントとなりました。みんなで話して、飲んで、踊ってと、楽しい打ち上げとなりました。ヨーロッパのカンファレンスでは、クラブで懇親会はよくおこなわれているとのことでした。
みなさんも、是非 Meetup 勉強会や、WordCamp カンファレンスに遊びにきてください。私もいると思いますので、是非声をかけてください。
最後に、WordPress のコミュニティが目指すところをお伝えして、今日のセミナーを終わりにしたいと思います。
WordPress のコミュニティでは
「出版の民主化」を
一緒に前に進めてくれる仲間を募集しています
もし興味がでてきたら、イベントに遊びにきてください。5階のブースでもチラシやステッカーを配っていますので、寄ってみてください。
本日は、ありがとうございました。
オープンソースカンファレンスのスタッフのみなさま、おつかれさまでした。ありがとうございました。一緒にカンファレンスに Tokyo WordPress Meetup コミュニティから参加した、池田さん、立花さんも、おつかれさまでした。ありがとうございました。参加した感想は以下のブログに書きました。
[blogcard url=”https://shinyab.com/archives/10197″]
参考資料:
[blogcard url=”https://www.whoishostingthis.com/resources/b2-cafelog/”]
[blogcard url=”https://gigazine.net/news/20140607-wordpress-matt-mullenweg-speech/”]
[blogcard url=”https://ma.tt/2018/12/democratize-publishing-revisited/”]
[blogcard url=”https://wordpress.org/gutenberg/handbook/contributors/design/”]
[blogcard url=”https://ja.wordpress.org/2018/12/07/wordpress-5-0-bebo/”]