雨の書 公演B

ダンサーで、親友でもある石井則仁さんのダンスカンパニー「舞踏石井組」の作品を手伝うことになった。ドラマトゥルク業である。今年度は、カンパニーで3つの公演が予定されている旨のブリーフィングを受け、私の方からいくつか提案をしたところ。その中のアイディアの一つが「公演B」となった。

公演Bは、カンパニーのメンバーに、自身のダンス作品を作ってもらい公演を行うというもの。現在、6名のカンパニーメンバーがプロダクションに参加予定である。

内容は、京都の暑い夏にて、山中透さん達と2度開催した文化庁委託 新進芸術家育成プログラムのシラバス(この時のシラバスも私が書きました)をベースに、大学で採用しているアメリカ式の教育法を混ぜたものを作ってみた。ダンス作品作成を通して、座学で共有したアートや舞台に関する知識をベースに会話が生まれていくことで、この先のダンス人生がより豊かなものになっていくことを目指します。

昨日のオリエンテーションにて、簡単なシラバスを書いて読んでもらったので、ここで共有します。次回のワークショップは、10月3日に開催予定。楽しみです。

もう少し座学があった方が良いのではとも思えるのですが、臨機応援に、実習の中にも座学的な要素を入れていけるようにしたいと思っています。

今回のシルバスは、石井則仁さんとスケジュールなどの構造を作ってから、その後、私がドラフトを仕上げ。ドラマトゥルク仲間の呉宮小百合さんに読んでもらい、意見交換をして、その内容を反映させたものになっています。

オリエンテーションでは、たくさん質問をしてもらいました。実は、この質問から生まれる会話こそが「気づき」に繋がっていくので、とても大切な時間です。日本は質問しない人が多いですよね。非常にもったいないなーといつも思っています。

考えて質問することは、「分析的思考(アナリティカルシンキング)」の第一歩となります。まずは、事実を正しく把握する努力が必要なのです。そして、把握した情報を整理することも重要です。把握>整理が確立すると、目的である、分析に辿り着けます。

学生時代から思っていたことですが、アート作品作りというのは、「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」を身につけるのに、最も適したプロセスの一つなのではないかと。複雑な事象を概念として捉える能力を身につける。こう書くとアートのことと連想しますよね。

舞踏石井組 2023公演Bシラバス 

期間:2023年9月〜2024年2月

Objectives:

40〜60分ぐらいのオリジナルダンス作品を作ります。

Components:

実習  5分>15分>15分>30分>40分と、実際にダンス作品を作ってもらいます
座学  講義を聞いてから議論する時間です、お題目:

  1. 構造と振り付け、
  2. ダンスとメディアとその他、
  3. コンセプトとアートとエンターテイメント、
  4. インスピレーションについて

選考会 本公演の為に、二つのグループを選考します(1. 観客賞、2. 石井&シンヤ賞)
公演  本公演

Schedule:

9月12日 (火) 午後7時 オリエンテーション

40〜60分ぐらいのオリジナルダンス作品を作ります。

作品は以下のフォーマットの一つを最初に選んで、そこから作ってもらいます(どれでもない方、混在させたい方はご相談ください)。このフォーマットは、必要であれば途中で変えることもできます。

  1. 動きから作る
  2. ストーリー(テーマ)から作る (音楽を決めてから作るも、ここです)
  3. メソッド or 哲学 or コンセプトから作る

次回への宿題1: プロポーザル(企画書)を書きます。フォーマットを選んでもらって。どんなふうに作っていく予定かを、1000文字以上で書いてもらいます

次回への宿題2: リサーチ1をしてもらいます。自分の作品に似たような作品 or 参考にしたい作品のサンプルを探してもらい次回の稽古で発表してもらいます

次回への宿題3: リサーチ2をしてもらいます。最近見つけた面白いもの or こだわっているものを1つ、毎回、稽古で発表してもらいます

10月1日 (日)  プロポーザル締め切り

プロポーザルをメールにて提出(プリントアウトして、3日の稽古で参加者に配ります)

10月  3日 (火) 午後7 Workshop 1 プロポーザルのプレゼンテーションとフィードバック

内容: 自分のプロポーザルとリサーチを発表してもらいます。

次回への宿題: フィードバックを文章にまとめてください。次回の5分の作品の為にどのような作業をしていくか文章に書いてください。

次回までに、5分ぐらいのダンスを作ってきてください。頭から作ってもらってもいいですし。コアとなりそうな部分から作ってもらっても大丈夫です。「5分作品」が一塊になっていなくても大丈夫です。1分>2分>2分のような方でも大丈夫です。

10月 24日 (火) 午後7 Workshop 2 「5分作品」のプレゼンテーションとフィードバック

内容: 「5分作品」のプレゼンテーションをしてもらいます。

次回への宿題: フィードバックを文章にまとめてください。次回の15分の作品の為にどのような作業をしていくか文章に書いてください。これらの文章を元に、15分ぐらいのダンスを作ってきてください。頭から作ってもらってもいいですし。コアとなりそうな部分から作ってもらっても大丈夫です。「15分作品」が一塊になっていなくても大丈夫です。5分>5分>5分のような方でも大丈夫です。

11月21日 (火) 午後7 Workshop 3 座学 – 作品:構造(時間的・空間的)と振付

12月  5日 (火) 午後7 Workshop 4 「15分作品」のプレゼンテーションとフィードバック

内容: 「15分作品」のプレゼンテーションをしてもらいます。

次回への宿題: フィードバックを文章にまとめてください。次回の15分の作品の為にどのような作業をしていくか文章に書いてください。これらの文章を元に、もう一度、15分ぐらいのダンスを作ってきてください。頭から作ってもらってもいいですし。コアとなりそうな部分から作ってもらっても大丈夫です。「15分作品」が一塊になっていなくても大丈夫です。5分>5分>5分のような方でも大丈夫です。

12月12日 (火) 午後7 Workshop 5 座学 – ダンスとメディアとその他音響・音楽・映像・照明

12月26日 (火) 午後7 Workshop 6 「15分作品」のプレゼンテーションとフィードバック(スペシャルゲスト)

内容: 「15分作品」のプレゼンテーションをしてもらいます。

次回への宿題:フィードバックを文章にまとめてください。次回の30分の作品の為にどのような作業をしていくか文章に書いてください。これらの文章を元に、30分ぐらいのダンスを作ってきてください。

 1月  9日 (火) 午後7 Workshop 7 座学コンセプトとアートとエンターテイメント

1月16日 (火) 午後7 Workshop 8 「30分作品」のプレゼンテーションとフィードバック

内容: 「30分作品」のプレゼンテーションをしてもらいます。

宿題:フィードバックを文章にまとめてください。次回の40分の作品の為にどのような作業をしていくか文章に書いてください。これらの文章を元に、40分ぐらいのダンスを作り、選考会で披露してください。。

  1月23日 (火)  選考会 「40分作品」のプレゼンテーション

  1月27日 (土) 午後3 Workshop Part II 1 選考会フィードバック

  1月30日 (火) 午後7 Workshop Part II 2 座学 – インスピレーションについて

  2月  6日 (火) 午後7 Workshop Part II 3 会場にてリハーサル

  2月13日 (火)  本番

Ame no Sho, Theatrical Performance B, 2023 / Photo by Shinya B / Camera: Sony a7III with 590nm filter sensor

この記事を書いた人

シンヤB

アーティスト、教育者、ドラマトゥルク。詳しくは、プロフィールをご覧ください。