(プロセス)
CP+に続き、写真ワークショップをすることになった。CP+のときと同じように、iPhone写真術について、事前に内容をブログに書いている。
(ロジ)
コンポジション(構図)については、なんだか、もっとも書くのが難しい内容のような気がする。これは、写真の先生としての実力を問われるような気がするからかもしれない。そして、iPhone・本気・写真術ワークショップに参加なさる方々にとっても、コンポジションは、難関の一つだろうし、習得したいものではないかと思う。コンポジションの考え方は、文字で読むと難しく感じるかもしれないが、ワークショップより先に読んでおくことで、内容が少し消化され、ワークショップ中のデモや実際のワークをベースに、前に進んでいきやすいようになればと願う。もちろん、コンポジションに関しても、自分なりの方法を見つけていってもらうことが必要なので、そこを目指せるように書いているつもりである。
iPhone写真術レッスン・構図: 構図(コンポジション)の考え方と習得方法
Photography is not a sport. It has no rules. Everything must be dared and tried!
(写真術は、スポーツ競技ではない。そこに、ルールなどはない。あらゆることを、あえて、ためせ!)– BILL BRANDT
冒頭から、イギリスの写真家 ビル・ブラントさんの名言から始めてみた。写真について考えるとき、私は、このビルさんの言葉を思いだす。
写真、カメラは、制約が多い世界だ。その現場で、彼は、あえて、そこにルールなどない、といっている。そして、あらゆることは、ためされなければならないと。
さて、ここで、あなたと私の間に、ルールを設定しょう。
A = い
B = ろ
ともし、私が定義したら、それは、その逆の可能性もあることを覚えておいてほしい。どういうことかというと、上の定義がある程度わかってきたら、次は、ぜひ、
A = ろ
B = い
を試してもらいたい。なぜなら、あらゆるものは、あえて、ためされなければならないのだから。
さて、構図の話しに戻ろう。
写真における、構図という言葉について。
写真という言葉についてかいたことがある。構図という言葉についても、少しはなしておきたい。
構図という言葉を使うときの動詞が気になっている。私たちは、「構図」「構図を決める」と使うことがおおいが、英語では、「Composition(構図)」「Compose(組み立てる・作曲という意味もある)」と、使いわけられている。
「図」という字は、「あらわした」「ものの姿・形」という意味だが、「構」という字は、「家などを組み立てる」「物ごとを組み合わせる」「つくる」という意味である。つまり、構図が持つ、動詞的意味は、「決める」ではなく、「組み立てる」だと考えてもらいたいのだ。このページでも、なるべく「決める」ではなく、「組み立てる」とかいていきたいと思う。
写真における、コンポジション(構図)の考え方。
「コンポジションの考え方」としては、まずは「性質」をわかってもらいたいので、以下の3つの状態を紹介したい。コンポジションは、次の3つの状態か、それらが複雑に混ざっている状態であると定義できる。
1. モチーフが存在し、三分の一の法則(三分割法)などが活用されている(構図法)
2. 自分が感じている雰囲気が反映されている(メンタルモデリング)
3. 偶然(アクシデンタル)
構図法としては、次の2つ法則をつかいこなせるといいだろう。
法則は、あくまでも「ガイド」だと考えてほしい。
つまり、ガイドとなる線と点を元に、自分なりのバランスをとっていくのである。ちなみに、他にも、いろいろな構図法を考えることはできるが、それらは気にしなくて大丈夫。結局、大切は、この二つの法則を意識しつつ、自由に組み立てることなので。
a. ルールオブセカンド(二分の一の法則)
二の白い線が交差する場所か、線上に、構図の要素の最も重要なものを配置するという法則。白い線を基準に、シメトリック(左右、上下対称)な組み立にも利用できる。
習得する際のコツ(定義)として、以下の要素と組み合わて使う。
- パラレル(並行): (メインの)平面がなるべく(カメラと)並行になるように組み立てる
- シンプル(単純): なるべくシンプル(単純)に(余計なものはふくめない)
- セパレーション(分離): (奥行きを浅くか、もしくは明暗を使い)モチーフを背景と分離する
b. ルールオブサード(三分の一の法則)
三の白い線が交差する場所か、線上に、最も重要な要素を配置する法則。水平線などを、画面の上下や左右に入れたい際のガイドとしても使うことができる。
習得する際のコツとして、以下の要素との組み合わせて使う。
- クロシング(交差): (主の)平面が(カメラのセンサーと)交差するように組み立てる
- リーディング(主役): (主となる)モチーフが目立つように三分割を使う
- パースペクティプ(遠近): 遠近を取り入れる
(そして、これができるようになったら、この定義の逆もためされなければならない)
コンポジションには、フィーリングと呼ばれる「雰囲気」が反映されてしまうということ。
人間の行動というのは、潜在意識の影響を受けてしまう。そのときに感じている、潜在意識に影響している事柄は、コンポジションにも影響してくる。
撮りたいと思い、カメラを構え、ファインダーや画面を見て、何かが違う、、という気持ちになるのは、無意識に、自分の精神面に近いものを探しているときに起こっていると定義できる。
この現象は、メンタルモデリング(精神面を真似る行動)と呼ばれる。
写真は、自分自身の精神面を写し取ることができるので、これは不可思議なことと思わないでほしい。フィーリングを写真に反映したいと思ったら、自分の感覚や気分に逆らわず、自由に撮ってみることだ。そのうち、きっと、なにか写るだろう。フィーリング優先であれば、構図法も無視して大丈夫。
偶然性。
あらゆるものは、偶然起こるが、写真の中では、「偶然」は、できるかぎりコントロールされなければならない。
写真において、偶然は、幸運の女神である。
自分なりの偶然を味方につける方法を模索してほしい。
分かりやすい例は、サム・エイブル氏の「Compose the background and wait(背景を組み立て、あとは待つ)」だろう。彼は、背景を組み立てあとは、そこに、モチーフが入ってくるのを待つスタイルで撮影している。どれぐらい待つかのルールが決めてあって、20分待つそうだ。習得方法に、彼のウェブサイトへのリンクがあるので、参考にしてほしい。アンリ・カル ティエ・ブレッソンさんも、このスタイルの写真家である。
カラー写真における3つの色の法則、大げさなアングル、自分が好きであるという難題。
これ以上の情報は、オバーロードになるが、ついでにかいておきたい。カラー写真は、3つの色にまとめた方がコンポジションとしては、きれいに見やすく組み立つ。水平を崩すことで面白いコンポジションを作ろうとすると、水平が崩れたことばかりが目立ち、大げさなアングルに見える(つまり逆につまらなくなるので)注意が必要だ。
さらに、「自分がこういうのが好きだから(例えば、日の丸構図とか、、)」という理由でコンポジションを決めるのも注意が必要だ。なるべく、モチーフや主題に合ったコンポジションを探しつつ組み立てていってほしい。
コンポジションの習得方法。
「ルールオブセカンド」「ルールオブサード」は、同じモチーフや状況に対して、どちらも撮影してみる習慣をみにつけてほしい。両方のルールを、同じ状況で写すことによって、いろいろ気づくことがあるはずだ。シャッターを切ってみなければ、結果的になにが良いかはわからないこともおおい。
法則は、あくまでもガイドで、自由に組み立てることも忘れないで欲しい。結局は、自分が持つバランス感覚が個性になっていくと考えるといいだろう。
メンタルモデリングは、ファインダー(や画面)をのぞいて、何か違うと感じたら、自分がいま、何を感じているのかを探ってみると、その感じにちなんでいくことができるようになるだろう。
自分の感情を恐れてはいけない。結局は、自分が持つ感情が個性になっていくのだから。
偶然は、偶然を味方につける方法を考えよう。
結局は、先を推測し、先回りして準備する習慣が必要になってくる。シャッターを押しながら、その先を、いつも考えていくのだ。
サム・エイブル氏の「背景を組み立て、待つ」という方法論をみてほしい。サムさんのサイトには、素晴らしいコンポジションの写真が満載である。
大学の写真のクラスでは、アンリ・カル ティエ・ブレッソンさんの写真も写真的コンポシションの例としてよく紹介されているので、こちらも参考にしてほしい。
http://content.time.com/time/photogallery/0,29307,1983868_2128535,00.html
あなたの写真ライフが、幸せであることを祈って。
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