リコー THETA Z1 を買う前に知っておきたい3つのこと

世界でもっとも THETA を愛する人 シンヤBです。THETA Z1 が発売されて今日でちょうど一週間。購入してみて聞かれるのは、THETA Z1 を買うべきかどうかを判断する上で必要となる情報ですね。大型のセンサーを採用し、RAW 撮影も可能になった THETA Z1、360度カメラの性能としては「買い」でしょう。しかし、値段が10万円を超えるカメラですので慎重に進めたいところです。

そこで、THETA Z1 を購入して一週間のレビュー的に「リコー THETA Z1 を買う前に知っておきたい3つのこと」を書いてみることにしました。言ってみれば、この3つは THETA Z1 の欠点ともとれますが、THETA のちょっとした欠点を事前に知っておくことが購入を慎重に進める上で重要だと考えています。それと、この記事は「写真」を作る目的に絞って書いています。参考にはなるとは思いますが、動画目的は含まれません。

値段やおすすめ購入ショップ情報は、「リコー THETA Z1、最安値・おすすめショップ情報、保証延長での比較も掲載 (5月30日更新)」を参考にしてみてください。

THETA Z1 と THETA V

1. THETA は使いこなすのが難しく、写真の腕を試される

THETA は空間を平面的に記録する従来のカメラとは違い、空間を立体的に正距円筒図法 (equirectangular/エクイレクタングラ) で記録します。この立体的な記録の仕方は、いままでの写真撮影の感覚とはまったくことなるもので、難しいと感じる人が多いと思います。

さらに、記録した立体的な画像データ エクイレクタングラには地図投影法の独特な知識が多少は必要となり、使いこなすためにはある程度の学習が必要となります。

Shibuya Crossing, THETA Z1 by Shinya B 2019

THETA を使ったことがなければ まずは THETA SC を試してみるのも一つの手段

THETA を使いこなせるかどうか不安な人は、まずは、THETA SC を試すのが良いのではないでしょうか。THETA SC を使いこなせたら、THETA Z1 に進んでいけばいいのではないかと思います。

写真目的としては、THETA SC は ¥21,870 (2019年5月30日アマゾン価格) とリーズナブルな値段です。THETA を使ったことがない方で、THETA 写真の腕試しをしたい方は、この機種をおすすめします。

THETA V, THETA SC ユーザーにおすすめしたい THETA 写真制作方法

THETA のファイル エクイレクタングラを変換できる NASA の G.Projector

NASA (アメリカ航空宇宙局) は、G.Projector という地図投影法ファイルを変換するデスクトップ用のアプリを提供しています。Java 8 以降の環境で動作し、Mac, Window, Linux で動きます。Projection List に変換可能な地図投影法のリストがあります。つまり、このアプリを使えば、THETA+ アプリがなくても PC上で変換作業ができるわけです。

G.Projector を使い Stereographic 投影法に変換しているところ

THETA でブラケット撮影し、Photomatix Pro でHDR合成

THETA のカメラ内で生成される HDR 写真を オートHDR とするなら、ブラケット撮影とHDRアプリでの合成を自分でコントロールするのがマニュアル HDRです。

私は、HDR合成に Photomatix Pro というデスクトップアプリを使っています。買い切り方式のライセンス料が9,900円かかります。

マニュアル HDR の詳しい撮影・合成方法は、Photomatix Pro のユーザーマニュアルに書いてありますので、是非読んでいただければと思いますが、考え方としては、EV +2, +1, 0, -1, -2 のような形で5枚のブラケット撮影をマニュアルで行い、それを、Photomatix Proで HDR合成します。

さらに、Photomatix Pro には、 360°イメージオプションがありますので、シーム (繫ぎ目) がでるのを防ぐこともできます。このオプションは使いようによっては、HDR合成だけでなく、従来の画像編集的な使い方もできると思います。

以下の写真は、THETA V でマニュアルHDR したものです。

2. THETA Z1 のボディは質量が重く、バッテリーの減りが早い

THETA Z1 のボディは 182g、THETA V は 121g

THETA V と比べると質量が1.5倍になりました。60gの差と考えると、あまり影響なさそうにも思えますが、私は、一緒に持ち歩く自撮り棒 (一脚) と三脚は、THETA V や THETA SC とは違うタイプのものを使うようになりました。

現在使っているものがどのようなものなのかにもよりますが、買い換える必要があるかもしれません。

私が使っているTHETA Z1 のためのケースと三脚

THETA Z1 は、THETA V & THETA SC よりバッテリーの減りが早いです

THETA はバッテリーを交換できませんので、朝から晩まで外で撮影する場合などは、THETA Z1 が2台ないと撮影が途切れてしまう可能性があります。

どれぐらいバッテリー持つの?と知りたいかもと思いますので、そうですね、使い方にもよりますが、オンオフをしながらの撮影で6時間ぐらいが目安かなと思います。ちなみに電源を切らずに撮影を続けたら3時間持たないと思います。となると、途切れずに撮影するには、2台所有してローテーションする方法しかないんじゃないかなと思っています。

3. THETA Z1 の RAW ファイルのスティチングには Adobe Lightroom Classic、PTGui、Theta Z1 Stitcher (Android App) が必要

THETA Z1 の RAW ファイルはスティチングがされていない

THETA Z1 の RAW はカメラ内でスティチングされていませんので、現像した後にスティチングする必要があります。スティチングのために、リコーから Adobe Lightroom Classic CC 専用のスティッチング Plugin が提供されています。Adobe Lightroom Classic CC は月額980円 (税別) のサブスクリプション方式のライセンス料がかかります。それと、Adobe Photoshop CC 用のリコーのスティチング Plugin はまだありません。

PTGui は15,696円のライセンス料 (買い切り方式) で、Pro版が31,267円です。THETA Z1 の RAW のスティチングに対応していて、RAW現像も可能で、Pro版ではHDR合成もできます。

追記 (6月3日): Android のアプリで、Theta Z1 Stitcher (Android App) と呼ばれる THETA Z1 の RAWファイルをJPGかTIFかPNGに現像したものをスティチングして、JPGかPNGに書き出すアプリがあります。THETA Z1 から RAWファイルを Wi-Fi で転送できる Theta DNG Transfer もあります。2019年8月1日まではウォーターマークなしで使用できるとのこと。

私は新しい THETA Z1 を毎日楽しんでいます。THETA V から大きい進歩を遂げたと思います。

いろいろと書きましたが、私は THETA Z1 には満足しています。あとは、どうやって元をとるのか考えていかなければと思います。そこがきっと難しいところなんだとは思いますが、、

下の写真は、THETA Z1 で オートHDR 撮影し、iPhone の THETA+ アプリで書き出したものです。Snapseed でレタッチもしています。

Tokyo Night View, THETA Z1 by Shinya B 2019

この記事を書いた人

シンヤB

アーティスト、教育者、ドラマトゥルク。詳しくは、プロフィールをご覧ください。