フェルメール展が上野の森美術館で10月5日から始まったので行ってきた。東京会場は2月3日まで。
フェルメール展東京会場は、48点の中の8点がフェルメール作のグループ展である。会場で配られる冊子には、”Making the Difference: Vermeer and Dutch Art (技巧の違いを生みだす: フェルメールとオランダ美術)”と記載があった。シンプルにフェルメール展としているのは、マーケッティング的な狙いがあるのかもしれない。しかし、東京会場には、フェルメールルームと呼ばれる8点のフェルメール作品が一緒に観れる部屋があるので、期待は裏切られなかった。
オランダ美術 (他の絵画) も、メツー、ステーン、デ・ホーホなど、是非観ておきたい作品が沢山含まれているので、見逃さないように注意して欲しい。
さて、そんなフェルメールファンには堪らない展覧会だが、難点もある。筆者は、平日の金曜日の午前9:30の入場だったが、とても混んでいた。一つ一つの絵を目の前で見ようと思うとかなり大変だった。
チケットは時間制で、入場時間を選んでチケットを事前購入する形になっている。会場にチケットブースのようなものもあったので、売り切れていなければ、当日でも買えるのかもしれない。
東京会場は、一階から入場すると、小冊子と音声ガイド (無料) を渡される、そして二階に上がり、二階がオランダ美術、そして一階に降りると、フェルメールルームがあるという会場構成だ。
出展されているフェルメール作品の一覧を作ってみた。
作品名 | 会場名 | 所蔵美術館 |
---|---|---|
牛乳を注ぐ女 | 東京 | アムステルダム国立美術館 |
ワイングラス | 東京 | ベルリン国立美術館 |
真珠の首飾りの女 | 東京 | ベルリン国立美術館 |
赤い帽子の娘 | 東京 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー |
手紙を書く女 | 東京・大阪 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー |
手紙を書く夫人と召使い | 東京・大阪 | アイルランド・ナショナル・ギャラリー |
マルタとマリアの家のキリスト | 東京・大阪 | スコットランド・ナショナル・ギャラリー |
リュートを調弦する女 | 東京・大阪 | メトロポリタン美術館 |
取り持ち女 | 東京・大阪 | ドレスデン国立古典画絵画館 |
恋文 | 大阪 | アムステルダム国立美術館 |
大阪会場は大阪市立美術館、2019年2月16日から5月12日まで。上の表を観てもらえれば分かるが、大阪は作品点数が少なくなるようなので注意が必要だ。
私は、ワイングラス、牛乳を注ぐ女、赤い帽子の娘が見たかったので、東京会場でなければ見れなかったことになる。
私のフェルメールへの興味は、以下の3点である。
- カメラ・オブスキュラと呼ばれるカメラのような構造を持つ装置を使い、写真のように精密に描かれている上に、写真家にとって非常に興味深い構図になっていること。
- 背景にある絵画や、窓のデザインに意味が込められているところ。ストーリーが深まっていく効果があり面白い。
- 登場人物の表情 (私に言わせれば、これが、フェルメール作品の最大の魅力である、どの人物も素朴だが端正に描かれていて、それが魅力的に見える)
今回、8点同時に見れて、絵の大きさの比較ができたのも面白かった。大小の差がそれなりにあるのは驚いた。画角がどうなっているのかなど気になるので、一度書き出してみたい。
赤い帽子の娘だけ、光が右側から指していて、大きさもとても小さい上に、板に描かれていたのが気になった。なにかのテストをしていたのかもしれないと思ったので、考えてみた。写真家であれば、なんのテストをするだろうか、、そうか、この絵だけレンズが違うんだ。新しいレンズというより、この絵はトリミングされているように思えるので、トリミング的なテストだったのかもしれない。
そして、モチーフはだれなんだろう。私は、ずーっと娘ではなく、青年だと思っていたのだった。今日、本物を見ても、やっぱりオトコに見えるよなーと思った。