夏休み中の高校生に写真のワークショップを開催した。来年も担当することになりそうなのと12月にも別の企画で開催するので、覚書を書いておこうと思う。参加者は、アメリカから来日している高校生7割、日本在住の高校生3割。ワークショップはすべて英語で行った。時間割に関してはオーガナイザー側から伝えられたスケジュールにちなむようにプログラムを組んだ。
写真ワークショップの内容
スケジュール | 内容 |
1日目 13:30-15:00(90分) |
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2日目 13:30-15:30(120分) |
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3日目 13:30-17:30(240分) |
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4日目 13:30-15:00(90分) |
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こうやって書き出してみると:
- Bridge でセレクトし PDF に出力し紙に印刷し、紙の状態でさらなるセレクト
- Bridge/Camera Raw で現像作業をして TIFファイルで出力、Photoshop でA3の写真用紙に出力
- Photoshop で、文字の作業をして、A3の写真用紙に出力(ここは Illustrator で作業した方が面白いのかもしれない)
- InDesign でまとめて PDF にして Acrobat でA5のBookletとして印刷
上記の Adobe 製品を使った、写真周りの基礎ワークフローは確立できている。時間が足りなくて 学生に Camera Raw の作業を体験してもらえないのは残念だが、私と一緒に編集作業してもらった方が、写真現像の可能性はみてもらえるので、それでもいいのかなとも思う。InDesign で写真集を作るプロセスは楽しいので、こちらも学生に体験してもらいたいのだが、4日間9時間のスケジュールでどのように実現できるのか考えていきたいところ。
Photo: Shinya B / Camera: Ricoh IIIx
もう少し右脳的な要素の軸が必要だ
追記: さて、ここからは翌日に書いている。上の文章は、ワークショップが終わった直後に書いた。さて一晩経って、起きたらいろいろ降ってきたので追記。実は、何か足りないという感覚と、来年はもっと良くしたいという気持ちがあり、このブログを書き始めたということがあった。
私は、写真を教える上で、右脳的(抽象的)・左脳的(具体的)な分類を使い内容の整理をしている。今回のワークショップの構造には、もう少し右脳的な要素の軸が必要だと感じた。どのような軸かというと、「写真とはなにか?」「なぜ写真を撮るのか?」のような根本的な問いかけである。
「写真とはなにか?」については、歴史的な事柄を背景にしつつカメラと写真の登場により私たちの文化や生活がどのようにかわっていったか。そして、一眼カメラとiPhoneの違いについてで締めくくるといいのだろうと思える。
「なぜ写真を撮るのか?」については、議論をするための土台として、3種類の How そして Why を提示するといいのかもしれない。書いてみると、京都のパープルでレクチャーする時に、よく例に出す1~3人称的なアプローチになってきた。
- 自分のためにとっておきたい(一人称)
- あなたに伝えたい(二人称)
- 写真家は「神」である(三人称)
そして、ここで、2020年に受けた Jamey Stillings さんのレクチャーにて、「神と写真家の違いはなにか?」と問いかけられたことを思い出す。この問いかけの自分なりの答えを気にしていたのだが、やっと自分の講座と繋がってきた。9月からの大学の写真講座にさっそく組み込もうと思う。Life is good.
最後に、フィーリング・コンセプト・エステティック・トライアングル評価法について、英語で文章を書いて展覧会場で展示したので、日本語に訳した文章をここにも記しておきたい。
フィーリング・コンセプト・エステティック・トライアングル
クラスメイトの作品を評価してもらう
Photo: Shinya B / Camera: Ricoh GRIIIx
これは学生同士で作品を評価する新しい方法です。3色の付箋を使って、作品の異なる面を評価します:
- ピンク:感情的な反応をしてしまう作品
- グリーン:概念的な分析を即す作品
- ブルー:美的・技術的な刺激が多い作品
この方法の特徴:
- 3つの要素を組み合わせて、バランスの取れた総合的な評価を行います。
- 視覚的に分かりやすく、体系的なアプローチです。
- 作品への理解を深めることができます。
- 直感的な反応、知的な分析、技術的な評価をうまく統合します。
この手法を使うことで、学生たちはより深く、多角的に作品を評価できるようになります。
Photo: Shinya B / Camera: Ricoh GRIIIx